限量子消去の効率的なアルゴリズムの構築と産業課題解決への応用
整理番号 | 2022a005 |
---|---|
種別 | 若手・学生研究-短期共同研究 |
研究計画題目 | 限量子消去の効率的なアルゴリズムの構築と産業課題解決への応用 |
研究代表者 | 石原 侑樹(東京理科大学理学部第一部応用数学科・助教) |
研究実施期間 |
2022年10月31日(月)~ 2022年11月4日(金) |
研究分野のキーワード | 限量子消去、グレブナー基底、包括的グレブナー基底系、Cylindrical Algebraic Decomposition、準素イデアル分解、計算代数(数式処理)、実代数幾何学 |
本研究で得られた成果の概要 | 限量子消去(Quantifier Elimination、以下QE)は、代数等式および代数不等式で定義された問題を解くための強力な手法の1つであり、これまでMapleやMathematicaなどの計算代数ソフトウェア上で実装されてきている。本研究計画の動機としては、これまで多くの研究者によって研究され蓄積されてきたQEに関する知見や技術および最新の研究の動向を分析することで、関連する研究のブレイクスルーの萌芽を生むということが挙げられる。また、本研究の目的は、QEの効率的なプログラムを考案し、産業に登場する様々な問題を解決することである。その手法として例えば、既存のQEアルゴリズムに対して、準素イデアル分解などを活用する。 本研究においてはQEを産業課題の解決に応用するという目的で、様々な専門家を招き、多角的な共同研究を行った。非公開を含む対面の参加者の専門分野を大きく分けると、計算機代数、代数幾何学、特異点論、最適化理論、制御工学などが挙げられる。また、参加者50名以上も含めると、多種多様にわたる分野の専門家による研究交流が行われたと言える。本研究で得られた成果をまとめると、下記のことが挙げられる。 (1)これまで蓄積されてきたQEの理論およびその応用の知見の共有 (2)異分野の専門家同士の議論の交流による新しい問題解決方法の発見 (3)産業課題の視点からの新しい問題の発見 まず(1)について、QEの基礎理論について非公開日初日(10/31)にセミナー形式で知識の共有を行った。その際には、QEの専門家から、実用されているソフトウェアの実装について解説をいただくなど、書籍や論文だけではなかなか知ることができない部分についても知見を共有することができた。 次に(2)について、冒頭に説明したように本共同研究においては様々な分野の研究者にご参加いただいた。今回、そのような異分野の専門家の間で研究交流があったことで、これまで気づかなかった視点、問題設定が議論を通して複数発見された。 最後に(3)について、今回の共同利用研究においては、企業にいる方や、過去に企業にいた方、産業と共同研究をしている人などにも参加していただいたことで、より課題解決に則した視点で議論を行うことができた。それにより、新しい数学的理論の構築の萌芽が見えることができた。 以上のように、今回の共同利用研究において多くの成果を得ることができたと思われる。今後の継続研究により、今回得られた問題意識や新しい発見が論文やソフトウェアの開発に活かされることが期待される。 |
組織委員(研究集会) 参加者(短期共同利用) |
石原 侑樹(東京理科大学理学部第一部応用数学科・助教) 深作 亮也(九州大学数理学研究院数学部門・助教) 池松 泰彦(九州大学マス・フォア・インダストリ研究所・助教) 神戸 祐太(三菱電機株式会社・リサーチアソシエイト) 岩根 秀直(リーディング・スキル・テスト株式会社・会社員) |
アドバイザー | 横山 和弘 (立教大学理学部・教授) |